続・小説のためのウェブサイト

小説を読むという行為の特徴はなにかと考えたとき、やはりページを繰るという動作が一役買っているのではないか、ある人との話でそんな風に思いました。
彼はゲームブックをとりあげて、あの形式の特殊性が、ある一つのストーリーを追いながらも、別のストーリーがちらりと見えてしまうこと、にあると言いました。つまり、現在のスジとは関係ないところが、意志とは関係なくちらりと見えてしまう、それによって別のスジの展開が現在のスジの解釈に絡み、さらには別のスジへの関心を呼びおこさずにはおかない。ゲームブックにはデジタルゲームにはないそのような特性があると考えられるわけです。
私の関心は、ゲームブックの特殊性が、本という形式に依存しているということにあります。ページをめくるという行為を必要とする本というかたちが、ゲームブックの特殊性の根幹を担っていたわけですが、それは同時に私たちが読書の際に受けとる印象の一部を形作ってもいる。小説というものの本質はストーリーにある、これも一理ありますが、そのときに行う動作も、「小説を読む」という経験の一部を担っているのではないか。
だとすれば、「ウェブ上で小説を読む」という経験が何を求めているのか、これを考えるために、本という形式のもつ、めくるという行為を一考してみる余地はあるでしょう。ウェブ上でページをめくるとは、何をすることなのか。次にこれを考えてみたいと思います。