木の家

で、触発されてっていうところですが、木の家というのはけっこうすぐれた家屋ではないかと思います。特に、日本で自給自足できる材料だという点で。それに、大事に育てた木は、適切に使えばとても長持ちする。地震の多い土地では、柔軟な木の構造は合理的。ほら、いいとこだらけ。それから、木の持つ独特のあたたかみは、住んでみて初めてわかります。ちょっと朴訥なところはあるけれど、私は木の家、好きです。自分で建てるなら、ぜひとも木造にしたい。

シブカサって知ってます?

まずはこちらを:
http://www.shibukasa.com/
私は、恥ずかしながら全然知りませんでした。コンセプトが明確だし、なにより参加しやすく実用的なところがいいなと思いました。
そして、作ってる人をみてびっくり。私よりもずっと若い方々でした。すごい。なんだかもう、圧倒されてしまいました。私も自分の目指す所へ、一歩一歩近づいていこう、そんなふうに思える発見でした。どうもありがとう。

写真の美しさ

綺麗な写真を見ると、無条件に感動します。たとえば、こんなの:
http://www.dezeen.com/wp-content/uploads/2008/12/casa-205-by-h-arquitectes-205_17b.jpg
写真としては、なんてことない部類の写真ですが、そこにある生活の様子が見えてくるようで、私はとても好きな一枚です。
お休みの日の午前中、朝食を食べ終わったあとで、本棚の整理をしようかと思い立つ。ふと階段から本棚を見下ろすと、窓からあたたかい日差しが差し込んでいて、ほっとする。なんだか、そんな様子を想像してしまうからです。
これが現実にいかほど近いかということは、もうこの際無視です。重要なのは、この写真がどれほど見る者に想像力を与えてくれるかということ。世界の窓であるかのような、無機質でいて、想像の幅をくれる写真が、私はとても好きなのです。とても幸せな瞬間だし、その瞬間は、とても美しいと思います。

叫び声の快楽

叫び声、あるいは大音量のハイトーンヴォイス、歌い上げ、にある、ある種の気持ちよさ、カタルシスについてそのうち考えてみたいです。多くの人に支持されるのは、やはりそこに共通した良さがあるからだと思うのです。実際、高らかに歌い上げた音を聴くことで、何かが解放されたような気分になれる。こういうの、デザインにも必要なんじゃないかと思います。

続・小説のためのウェブサイト

小説を読むという行為の特徴はなにかと考えたとき、やはりページを繰るという動作が一役買っているのではないか、ある人との話でそんな風に思いました。
彼はゲームブックをとりあげて、あの形式の特殊性が、ある一つのストーリーを追いながらも、別のストーリーがちらりと見えてしまうこと、にあると言いました。つまり、現在のスジとは関係ないところが、意志とは関係なくちらりと見えてしまう、それによって別のスジの展開が現在のスジの解釈に絡み、さらには別のスジへの関心を呼びおこさずにはおかない。ゲームブックにはデジタルゲームにはないそのような特性があると考えられるわけです。
私の関心は、ゲームブックの特殊性が、本という形式に依存しているということにあります。ページをめくるという行為を必要とする本というかたちが、ゲームブックの特殊性の根幹を担っていたわけですが、それは同時に私たちが読書の際に受けとる印象の一部を形作ってもいる。小説というものの本質はストーリーにある、これも一理ありますが、そのときに行う動作も、「小説を読む」という経験の一部を担っているのではないか。
だとすれば、「ウェブ上で小説を読む」という経験が何を求めているのか、これを考えるために、本という形式のもつ、めくるという行為を一考してみる余地はあるでしょう。ウェブ上でページをめくるとは、何をすることなのか。次にこれを考えてみたいと思います。

喪服の黒

少し前、喪服を調達せねばならない状況があったのですが、そのときに、同じ黒でも実にさまざまな色があるということに気がつかされました。
喪服には主に、化繊を使ったものと、ウールを使ったものがあり、まずこの素材の違いが色に影響を与えます。ウールの黒は高級感のある、しっとりとした深みのある黒、化繊の黒は印象が柔らかく、優しい風合いを与える黒。また同じウールでも生地の仕立てによって全然違いますし、化繊は化繊で、また同じ色を探すのは本当に難しい。
実は上着のない黒のワンピースに、上着をあつらえようという魂胆だったのですが、このたくらみはまんまと頓挫しました。手持ちのワンピースと同じ黒色が、探しても探しても見つからなかったのです。
フォーマルウェアのフロア担当の方とお話しした限りでは、ブラックフォーマルはとりわけ黒を「濃く」作るのだそうです。だから、通常売られているブラックスーツよりも、フォーマルとして売られているブラックスーツは更に色が濃いのだと。曰く、
「黒はねぇ、色を合わせるのは難しいですよ」
まったく、その通りでした。
シンプルであればあるほど、微細な差異が際立つのかもしれません。ひとことで黒、といえども実際には多様な黒がある。このことは、心に留めておきたいと思います。